先日、コンサルティングしている施設から、こんな悩みをいただきました。「現場の定型業務をマニュアル化したら、定型業務はしっかりできるようになった。しかし、マニュアル化されたこと以外ができません。自分たちで考えて行動することができなくなってしまいました。どうしましょうか?」

私のコンサルティングでは、よくマニュアル化の話がでます。そして、このマニュアル以外のことができなくなったという"半分クレームのような意見"をいただきます。初めて、この悩みをいただいたときは、正直ヒヤッとしました。私は介護施設を悪い方向に導いてしまったかもしれない・・・と。しかし、実際はそうではありません。現場をみてみると確実に良い方向に変化しているのです。

では、なぜ上記のような意見がでるのでしょうか?"もともと自分たちで考えて業務をすることができなかった"。けれども、定型業務がきちんとできるようになったので、「自分で考えて行う業務」が"相対的に"できていないように見えたのです。多くの職員は、自分たちで考えて業務を組み立てる・改善するということが苦手です。マニュアル化は、考えなくても、ある一定のレベルで業務ができるようにするためのものです。マニュアルがあることで、何度も同じ試行錯誤を繰り返すことなく、正解にたどり着けるようになります。

もしマニュアルがなかったら・・・

カレーを例にとってみましょう。料理におけるマニュアルとは、レシピのことです。レシピがないと、人によってカレーの作り方が異なります。上手な人もいれば下手な人もいる。不器用な人もいる。煮込む時間が不十分で野菜が生煮えのカレーになるかもしれません。野菜の皮をむかずに、鍋に入れる人もいるかもしれません。レシピがあることで、料理のやり方や手順が分かり、誰でも同じクオリティーのカレーが作れるのです。

マニュアル化が進むと、よくある定型業務が一定レベルで実施できるようになります。「考えて業務ができるようにする」はマニュアル化の次のステップです。ですから、冒頭のような相談をもらった際は、次のようにお伝えします。「まず、『定型業務ができるようになった』ということなので、それは素直に喜んでください。次のステップで、定型外の業務を高いレベルでできるように、一緒に改善していきましょう。」

では、自分たちで考えて行動できるようになるのでしょうか?具体的な方法として、「利用者の夢かなえるプロジェクト」というものをオススメしています。普段は、生活面における介助で、業務に追われているかと思います。それ以外の時間を作って、「利用者や家族がやりたいこと・夢」を実現することを目指します。叶える夢は小さいものでも構いません。この活動は、決して正解があるものではなく、また、定型化された業務でもありませんので、職員が本気で考えて行動しなければ実現しません。是非、職員が「自ら考えて行動」という機会を与えるということに、これから注力していただけると良いかと思います。