介護保険制度では、3年に1度報酬改定という、点数変更があります。その変更の中には、基本報酬の変更もあれば、加算の変更もあります。介護ビジネスでは、売上=基本報酬+加算です。加算は、何か特別なことをやるともらえるものであり、売上の10〜20%程度を占めるため、無視できない存在です。

デイサービスの加算の現状

基本報酬を抑えて、加算を増やすということが最近の大まかな傾向です。デイサービスの加算についてですが、機能訓練(≒リハビリ)に関するものがとても増えています。具体的には以下のような加算があります:口腔機能向上加算、個別機能訓練加算、運動器機能向上加算、ADL維持等加算、生活機能向上連携加算。一方で、認知症に関する加算は「認知症加算」しかありません。

デイサービスの役割(厚労省の定義を引用)

「通所介護の事業は、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の『①社会的孤立感の解消』及び『②心身の機能の維持』並びに『③利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減』を図るものでなければならない。」となっていて、機能訓練は役割のうちの1つに過ぎません。しかし、機能訓練ばかりが重視され、その他がおろそかになっています。

なぜ、機能訓練に加算が偏重しているのか?

デイサービスの協会に問題があります。介護報酬を改定する際、デイサービス協会は厚労省に意見を出しています。しかし、その協会の理事の構成をみると、多くが「機能訓練特化型のデイサービス」を全国展開している法人なのです。認知症重視のデイサービスと比較して、機能訓練特化型のデイサービスは、介護の経験が少ないスタッフでも運営しやすいという特徴があります。また、それに伴い介護の資格がない方が多く働いている傾向にあります。そのため、採用を進めやすく、店舗展開をしやすいという特徴があります(機能訓練型を否定しているわけではありません)。以上のことから、機能訓練特化型のデイサービスを実施している法人が多くの店舗を持ちやすく、結果的に協会の理事に多く就任されています。当然、合計店舗数の多い団体の意見を厚労省は無視できません。だから、機能訓練に関する加算が増えています。

※協会理事の実名一覧は個人情報配慮のため掲載しません。

デイサービスが取るべき戦略

デイサービスの経営を考える立場としては、ルールを変えることはできません。ルールの範囲内でどう戦うか、ということに尽きます。デイサービスの経営の鍵は、やはり"利用者数"です。いくら加算をたくさんとっていても、利用者数が少なければ事業所として成り立ちません。新しい入浴加算が始まった今も問題になっていますが、一律で全員同じ加算を算定するというのは無理があります。利用者に合わせて、適切なサービスを提供し、その結果として加算をとるのが筋ですし、成功しているデイサービスほど、そこを丁寧にやっています。改めて言い直すと「アセスメントを細かく行い、利用者に合わせたサービスを提供する」これが基本戦略です。これがしっかりできると、一人当たりのデイサービスの利用回数が伸びます。また、ケアマネからの紹介数も伸びます。ぜひ、目先の加算にとらわれずに、求められるサービスに愚直に取り組み、良い結果を出していただけたらと思います。